覇王丸:毒の刀を担ぐ豪放の剣士、サムライスピリッツ永遠の主人公
サムライスピリッツが何作出ようと、ポスターの真ん中に立っているのは十中八九、覇王丸だ。彼はシリーズ一貫の主人公であり、「サムライ」という言葉の代名詞になりつつある男だ。
剣にしか本気になれない浪人
覇王丸は流浪の剣士で、刀を担いで各地を渡り歩き、人生の信条はだいたい「飯を食い、眠り、剣を磨く」。剣豪・和仲の門下で、同門の牙神幻十郎とは入門初日から犬猿の仲で、いまだ決着のつかない宿命のライバルだ。
彼の愛刀は笑ってしまうような名前だ——河豚毒。あまりに多くのものを斬ったせいで河豚の毒まで染み込んだ、という逸話の刀だ。名前は適当だが、斬る時はまったく手加減しない。
口は硬いが、心は柔らかい浪人
覇王丸のいちばんの欠点は口の硬さだ。彼には「お静」という長年の想い人がいて、一途に想われているのに、「剣を磨くのに恋愛してる暇はない」とばかり素っ気なくあしらってきた。古参プレイヤーは彼のツンデレぶりに、お静が不憫で仕方がなかった。
それが変わったのは『真サムライスピリッツ』のエンディング。重傷の彼をかばって飛び出したお静を見て、口の硬い浪人はようやく押し殺していた想いを認め、二人は結ばれた。
彼にも闇の面があった
『侍魂零』には「羅刹丸」というキャラクターがいる。設定上は覇王丸の複製体、つまり彼の内面の闇を具現化した存在だ。豪放磊落な主人公にも、「堕ちたらこうなる」という鏡を用意した開発陣の狙いは、覇王丸というキャラクターをぐっと立体的にしている。
豪放で、口が硬く、剣に夢中で、奥底に弱さを隠している——それが覇王丸だ。完璧ではない。だが、その不完全さこそが、三十年近くプレイヤーに覚えられている理由なのだ。