暴走八神庵:97年の暴走と殺戮
オロチ編の名場面の中でも、「暴走八神庵」は確実に上位に食い込む。普段は冷徹で自制の効く八神庵も、ひとたび暴走すれば味方すら殺す殺人鬼と化す。
暴走とはどんな状態か
「暴走」(血の暴走)とは、オロチの血を持つ者が特定の刺激で理性を失い、力が急増する状態だ。暴走時は目が赤く染まり、攻撃は凶暴で原始的になる。ほとんど「見境なしの殺戮」である。そして八神庵は、オロチの血の最も有名な持ち主だ。
97年:暴走が爆発する
『KOF97』の物語では、オロチの意志が目覚めつつあり、それが庵の体内のオロチの血を直接刺激する。大会が白熱する中、庵はついに血を抑えきれず、暴走に陥る。
暴走した庵は完全に自我を失い、残るのは殺戮本能だけ。真っ先に被害に遭うのは、彼に付き従っていた二人の八傑集——マチュアとバイスだ。オロチの使者として庵のオロチの血を利用しようとした彼女たちだったが、暴走した庵の前にはなす術もなく、二人とも殺された。
暴走と「操られる」の違い
ここに見逃せない設定上の区別がある。暴走は「理性を失う」ことであり、オロチによる直接支配は「人形にされる」ことだ。97年、オロチはオロチの血を通じて庵を完全に支配し、自分の駒にしようとした。
しかし庵は、誰もが予想しなかった選択をする——己の意志だけでオロチの支配に抗い、逆にオロチへと攻撃を仕掛けたのだ。あの場面は八神庵というキャラクターの魅力の頂点である。恨みと血筋に絡め取られた男が、まさに「降伏すべき」瞬間に、自分自身でいることを選んだのだ。
暴走八神庵の意味
暴走八神庵は、ただ「強くなった庵」ではない。悲劇の具象化である。彼の体内のオロチの血は、逃れようとして逃れられない枷であり、暴走するたびに自らの運命を制御できなくなっていく。
なお、暴走八神庵は97では隠しキャラクターとして登場し、凶悪な技と画面を埋め尽くす殺意で、当時のゲームセンターで最も人気の隠しキャラの一人となった。